緩降機の使い方について書きたいと思います。
点検の際にはよく、立会人や住居人と「こんなの使えるはずないですね。」
という会話をしますが、いざというときに設置されていて逃げ場が無ければ
消防車を待つのではなく緩降機にて先に逃げれるに越した事はありません。
確かに初めて見る人が、説明の書いてある標識を読んで操作し逃げれるとは
とても思いませんが、せめて降下試験を行わない点検でも、点検している際に
立ち会って使用方法を聞いた住人の方が、いざという時に使用できればと
願うばかりです。
使用方法は、以下の流れにて降下をする事ができます。
@アームの組み立て
A緩降機のアームへの取付
Bリールの投下
C着用具の装着
D降下
E着地
@アームを組み立てる
アームは、ベランダ等の地面に設置されているタイプと
ベランダ等の壁に設置されているタイプと主に二種類あるかと
思います。
地面に設置されているタイプでは、ロックを外してアームを垂直に
伸ばすと降下する方向にアームが折り曲がります。両手で取手を
持って、もう一段上へ引き伸ばす事ができます。カチッと音がする
ストッパーがきく所まで伸ばします。
また、壁などに設置されているアームもあります。
A緩降機の取り付け
緩降機を@のアームに設置します。アームの先には吊環があり、
その部分に調速器(速度を調整する部分、最も重い所です)の先の
フックを取り付けます。
Bリールの投下
まず、緩降機は二人が降りれる構造(ケーブルカーみたいな感じ)
となっており着用具が二つついています。調速機という速度を調整
する重い部分からロープが二本出ていて、それぞれ二つの着用具に
繋がっています。
片方は、調速機からロープが出てすぐの所に着用具がついていて、
もう片方のロープはリールという輪型のプラスチックに長いロープと
その先の着用具が巻かれています。
リールを下に投下すると、ロープが伸び着用具が巻かれたリールが
地面付近に到達します。
→リールが地面付近に到達された事を必ず確認が必要です。
(±50cm)仮にリールが途中で宙ぶらりんとなっている際に
は、ロープが短いか、もしくは実際に着用する側のロープが
長くなっている可能性があります。前述の場合には降下の際に
宙ぶらりんとなりますし、後述の場合にはそのまま着用して
降下すると、調速器が効きはじめる付近までは重力の通りダイブ
する羽目になります。
C着用具の装着
着用具を胴部に装着します。ベルトは降下時に自動で閉まります
が、当然ながら心配ですので、自分でロープを引っ張って体部分に
閉めて下さい。
→この装着も注意が必要です。言葉で説明は少し難しいですが
図を見るようにして下さい。
着用具を頭からかぶり両腕を出して脇にはさむような感じです
装着後のイメージとしてはブラジャー(肩紐無し)の胸の
真ん中からロープが伸びているような感じでしょうか?
D降下
さて、降下ですが調速器から出ている2本のロープを持って
ベランダを乗り越え外に出て、ロープを離して降下します。
→自分の降下体験を詳細に書きますと、2本のロープを両手で
持ちながらベランダの上に建物側を見ながらしゃがみ立ちし、
そこから体を外に重心を移します。
この時点では外に重心がかかっていますが、ベランダにかけて
いる両足とロープを持っている両手で踏ん張っている状態です。
この状態で足を少しずつベランダの上から壁に移し、後は十字を
きって両手を離します。
→この際に思いきり悪く両手を離せないと大変な事になります。
体の重力に手の力が負けずるずると落ちたら手のひらが
さあ大変!
E着地
手を離すまでが勝負で降下時は緩く降りるので怖くありません。
あとは降りていく際に建物の壁や障害物などに巻き込まれないよう
気をつけて降り着地するのみです。
緩降機の降下では、点検者が事故で亡くなる事が数回あった
そうです。
型式失効となった品では着用具を体にはめた際にリングの締め付けを
しっかり行わず降下をしたために、着用具がスッポリ抜けて亡くなった
例があり、現在の緩降機では降下の際に自動的に着用具が体に
締め付けられる構造となっています。
また、現在の緩降機でもロープの長い方の着用具を地面に落とさず
ロープの長い方の着用具を装着してそのままダイブして事故と
なった例があるそうです。
初めて降下試験をする方は実際に点検した事のある人と必ず点検して下さい。
また、上記述に間違いありましたら指摘頂ければ幸いです。
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